「せっかくトイレでできるようになったのに、またオムツに戻っちゃった……」
いわゆる「逆トイトレ」。一度ゴールが見えた分、親としてのショックや焦りは大きいですよね。
わが家の長女もそうでした。2歳でトイレでの成功体験を積み、「よし、このまま卒業だ!」と思った矢先、一度の失敗をきっかけに「もうオムツがいい」と逆戻りしてしまったのです。
しかし、私たち夫婦はそこで焦ることはありませんでした。私は保健師として、妻は理学療法士として、子供の成長を論理的に捉える視点を持っていたからです。
今回は、逆トイトレに悩むパパ・ママへ、専門職夫婦が実践した「親のエゴを捨て、子供の自律を信じる向き合い方」をお伝えします。
身体を「アセスメント」すれば、焦りはデータに変わる

トイトレが停滞したとき、まず必要なのは精神論ではなく「アセスメント(客観的な評価)」です。
尿意を感じる神経系や、尿を溜める膀胱容量、排泄に必要な筋肉の発達は、外からは見えません。子供本人ですら、自分の身体の中で何が起きているか正確には分かりません。
だからこそ、親が冷静に「現場(身体)」を観察する必要があります。
- 排尿間隔は空いてきたか?(膀胱のキャパシティ)
- 尿意を訴えてから排尿までの時間は?(神経の伝達速度)
- 普段の排尿パターンに変化はないか?
これらを観察していると、「今はまだ神経の配線工事中なんだな」という見通しが立ちます。
「いつか身体が整う日が来る」という解剖学的な事実を知っていれば、根拠のない不安に振り回されることはなくなります。
成長を妨げているのは「親のエゴ」かもしれない

「周りの子はもう外れているのに」「早く楽になりたい」。
そう焦ってしまうのは、子供のためではなく、親自身の不安を解消したいという「親のエゴ」かもしれません。
早い分には不安になりませんが、遅れると途端に不安になるのが親心です。
しかし、建築現場で基礎が固まる時間を無理に短縮できないように、子供の発達にも「養生期間」が必要です。
「遅れている」と嘆く前に、目の前のわが子をしっかり見てください。
向き合っていれば、今この子がどの段階にいるのか、必ず分かります。周りの情報ではなく、わが子の「今」をアセスメントすること。
それが、エゴを捨てる第一歩です。
アドラー心理学で説く「勇気づけ」と「課題の分離」

わが家が逆トイトレ中、最も大切にしたのがアドラー心理学の考え方です。
アドラー心理学を子育てに活かす具体的な方法は、こちらの記事で解説しています。
成功ではなく「チャレンジ」を認める
失敗を責めるのは論外ですが、成功したときだけ過剰に褒めるのも注意が必要です。
「成功しないと価値がない」というプレッシャーになるからです。
大切なのは、トイレに行こうとした、座ってみた、という「プロセス(挑戦)」を認めること。これが「失敗しても大丈夫」という勇気(自己肯定感)に繋がります。
課題の分離:やるかやらないかは子供が決める
「排泄すること」は100%子供の課題です。
親がコントロールしようとすればするほど、子供は「やらされている感」を抱き、自律の芽が摘まれてしまいます。
親の仕事は、失敗しても「掃除すればいいだけ」と笑える環境を整えることまで。その先、トライするかどうかは子供に任せ、信じて待つ。
この「適切な境界線」が親子双方のストレスを減らします。
トイトレは「これからの親子関係」のプロトタイプ

トイトレは、親子の信頼関係を築く「最初の難所」です。ここで試されるのは、親子の距離感、つまり「介入の匙加減」です。
心理学の「サイモンズの親子態度分類」では、親の関わり方を分析しますが、トイトレ中に陥りやすいのが、先回りしすぎる「過保護」や、無理やりやらせる「高圧(支配)」です。
ここで支配的な関わりをしてしまうと、その後の十数年にわたる親子関係の土台にヒビが入るかもしれません。
逆に、適度な距離感で子供の意思を尊重し、「あなたならできると信じているよ」と見守ることができれば、それは一生モノの「信頼関係」へと繋がります。
いつか外れるから、大丈夫。

「年長さんや小学生になっても、オムツが外れていない子はいない」
これは、理学療法士の妻と私がよく話していた、当たり前だけど揺るぎない事実です。
トイトレの目的は、単にオムツを外すことではありません。子供が「自分は自分の力で成長できるんだ」という自信を掴み取ること、そして親が「この子は大丈夫」と心から信じられるようになることです。
今、逆トイトレで悩んでいるあなたへ。
少しだけ肩の力を抜いて、わが子の「育つ力」を信じてみませんか?
その一歩が、トイトレ卒業への一番の近道になるはずです。
トイトレが思うように進まないと、親子ともにストレスが溜まり、お子さんが「癇癪(かんしゃく)」を起こしてしまうこともあるかもしれません。
そんな時、看護師としての知識とアドラー心理学をどう活用して乗り越えたか。わが家で実践している「感情のコントロール力を育む秘訣」をこちらの記事で詳しく解説しています。



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