イライラは「親のエゴ」が通らない証拠
育児は、愛情だけでなく、親自身の感情との戦いでもあります。
「どうして何度言っても片付けないの?」「なんでこんな簡単なことができないの?」
元看護師・保健師である私は断言します。あなたが感じるイライラは、子どもが「親の期待通りに動かないこと」への、親自身の怒りです。それはつまり、親の「服従要求」というエゴが通らないことへの反応に他なりません。
私たち親は無意識のうちに、子どもを「親の言うことを聞くべき、まだ未熟な存在」と見下し、支配しようとしています。この親の期待」と「子どもの現実」のズレこそが、イライラの正体です。
1. 親のイライラは「子どもと同じ癇癪」である

子どもが床に寝転がって泣き叫ぶ癇癪は、自分の思い通りにならないことへの感情の爆発です。
それと同じように、育児がうまくいかないと嘆き、感情を爆発させる親の姿は、自分のエゴが通らず癇癪を起こしている子どもと何ら変わりません。
私たちが子どもを変えようと必死になるのは、そのイライラの原因が「子ども」にあると錯覚しているからです。しかし、現実は違います。
「他人と過去は変えられない。変えられるのは、自分自身と未来だけ」
私たちは子どもに変化を求めるのをやめ、親自身が変わることに集中しなければなりません。イライラは、親自身が自己変革を求められているサインなのです。
2. 元看護師パパが引く「自分への境界線」

子どもに感情をぶつけないために、親がすべきは、子どもへの介入を止めて自分自身に介入する「境界線」を引くことです。
看護師として、急変患者を前にした時、最初にすべきは「自分の冷静さを守ること」でした。育児も同じです。
① 物理的距離を取る(即効性のあるクールダウン)
- 行動: イライラが限界に達したら、「少しパパは離れるね」と伝えて、物理的に3メートル以上離れます。
- 理由: 子どもの視界から離れることで、無用な声かけや介入を防ぎます。距離を取ることで、自分の心拍数を落ち着かせ、感情の暴走をストップさせます。
② 感情に「タグ付け」する(客観視の訓練)
- 行動: 心の中で、自分の感情を第三者のように客観視します。「これは子どもの問題ではない、私の期待が裏切られたことへの怒りだ」「これは私の過去のトラウマが反応している」と、感情の出どころを特定します。
- 理由: 感情のタグ付けは、感情の波に乗らず、理性的な「前頭葉」を再び機能させる訓練です。これができれば、子どもを冷静に見守る「第三の目」が生まれます。
③ 哲学を反芻する(服従要求のエゴを捨てる)
- 行動: イライラが収まった後、「子どもを一人の人間として尊重しているか?」と自分に問いかけます。
- 理由: 怒りの根源にある「服従要求」というエゴを手放すことが、真の解決です。親が支配を手放し信頼に変わることで、初めて親子関係が対等になり、子どもは自立的に動き始めます。
④親自身が「感情の模範」となる
- 行動: イライラに直面した際、子どもに見える形で深呼吸をする、一旦部屋を出るなどのクールダウン行動を示します。
- 理由: 子どもは、親が「イライラしても、それを支配ではなく信頼と自己変革で乗り越えている」という姿を観ています。癇癪を起こしそうな感情にどう向き合うかこそが、親が子に見せるべき最高の教育です。この模範を通じて、子どもは「感情は自分で処理できるものだ」と学習し、将来、自律的な大人になるための最大の贈り物となります。
3. 親が変わると、子どもも変わる

親が「支配」を手放し、「尊重」というスタンスに変わることで、驚くほど子どもの行動は連動して変わります。
自己決定を尊重された子どもは、自分で問題解決を図ろうとします。
- BLWで「自分で食べる」ことを尊重されれば、食べ物に集中します。
- トイトレで「自分で決める」ことを尊重されれば、自発的にトイレへ向かいます。
子どもの歩む姿を見守り、転んでも見守り、助けを求められた時だけ手を差し伸べる。これが、親子の信頼関係のゴールです。
4. まとめ:イライラは自己成長のチャンス

親のイライラは、子どもの邪魔ではなく、親自身の自己成長のチャンスです。
親が感情のコントロールという課題を乗り越え、冷静な環境を提供できるようになったとき、子どもは安心感の中で最大限に集中力を発揮します。これはDWEなどの学習においても同様です。親のイライラがない静かな環境こそが、子どもの集中力を伸ばす最高の土台となります。
子どもを変えようと頑張るのをやめ、今日から自分自身を変えることに集中しましょう。
そして忘れないでください。あなたがイライラを抑え、自分の感情と冷静に向き合う姿こそが、子どもが観ている最高の教育です。
親が感情をコントロールし、自己変革で困難を乗り越える姿は、将来、子どもが社会で壁にぶつかったときに必ず役立つ、自律的な大人になるための最高の模範となります。
それが、あなた自身と子どもの未来を最も明るくする方法です。
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